世界経営幹部意識調査「コロナ禍からの回復に向けて」CEO版 世界のCEOが回復と成長を同時追求~付加価値を向上させる経営戦略を志向

公益財団法人 日本生産性本部は3月8日、米国コンファレンスボード(TCB:The Conference Board, Inc./ニューヨーク/President & CEO:Steve Odland)と協働した「世界経営幹部意識調査『コロナ禍からの回復に向けて』」から、2021年にビジネスに影響を及ぼす外的要因や重点的に取り組む経営課題、自社の成長に必要な変化等に対する経営幹部の意識を分析し、公表しました。本調査は、提携先であるコンファレンスボードが1999年より年次調査として行っている「世界経営幹部意識調査(英語名:C-Suite Challenge)」に、当本部がリージョナル・パートナーとして参加しているもので、グローバル視点での生産性課題の解決に向けた国際連携活動の一環となります。

今回の調査は、各国の経営幹部を対象に米国大統領選挙後の2020年11~12月に実施し、世界41か国1,538名(うち日本は186名)より回答を得ています。当本部は、日本国内での調査とともに、全世界CEO 909名(日本118名含む)を抜粋し、日本と米国、ドイツのCEOの特徴を比較・分析した日本分析レポートをTCBとともに作成しました。日米独CEOの主な特徴は以下の通りです。

調査研究・提言活動 資料ダウンロード

【日米独CEOの主な回答の特徴】(詳細は資料1の各ページ参照)

1. 2021年にビジネスに影響を及ぼす外的要因(P2~3)

  • ・日独CEOの上位は「新型コロナウイルス感染症」「景気後退のリスク」「消費者/顧客の購買行動の変化」
  • ・米CEOの上位は「新型コロナウイルス感染症」「ワクチンの供給体制」「景気後退のリスク」に次いで「規制」「法人税率」となっており、新政権の政策を想定していることが見てとれる。

2. 2021年に企業が重点的に取り組む経営課題(P4~5)

  • ・日米独CEO共通で「デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速」「イノベーションの促進」と併せて「業務プロセスの効率化」や「コスト削減」が重視されており、生産性の分子(付加価値)と分母(投入リソース)を同時に改革することで、傷んだビジネスの回復と成長の両方を追求する意識が読み取れる。この傾向は世界のCEOにも共通する。

3. 2021年に重点的に取り組む人的資源管理課題(P6~7)

  • ・日米独CEO全てで「優秀な人材の採用と維持」「『次世代』リーダーの育成」が上位、次いで「報酬体系の再設計」(日)、「コロナ以前の出勤体制に戻す」(米)、「職場出勤する従業員のエンゲージメント改善」(独)。この背景には、コロナ禍で急変したテレワーク等の働き方や組織マネジメントのあり方について、生産性の観点も含めて再検証する時期との意識が共通して表れていると推察される。
  • ・日米独CEO全てで「テレワークの従業員を増やす」は少数回答。

4. 2021年に経営課題を解決する上での障壁(P8~9)

  • ・米CEOでは「ビジネスニーズを満たすためのリソースの制約」「時代遅れのテクノロジー」が上位で、コロナ禍で資金が限られる中、DX等の新技術導入に向けた設備や人材など攻めの投資が十分できない葛藤の表れと推察される。

5. コロナ禍を経て長期的(3年以上)にわたり継続する可能性が高い変化(P10~11)

  • ・日米独CEO共通で「出張の減少」「気候変動に対する関心の高まり」、日米共通で「業務の自動化の進展」「オフィススペースの縮小」、米独共通で「資本市場において、大企業が中小企業より資金調達をしやすくなる」が上位。

6. 2021年に自社が成長する上で必要な変化(P12~13)

  • ・「環境的・社会的な持続可能性に貢献する製品・サービスを増やす」「ビジネスモデルの変革」(日)、「新製品/サービスの開発」(米独)、「新たな顧客の開拓」(日米独)が上位で、そのための手段となる「戦略的パートナーシップ拡大」「データの活用」も、日米独CEO共通で上位。

7. 変革を主導するリーダーに重要なスキルや資質(P14~15)

  • ・日米独CEO共通で「イノベーティブな思考」「実行力」「信頼の構築及び誠実さ」が上位。米独では「チーム・リーダーシップ」が上位で、コロナ下の労働環境におけるチームでの業務推進を重視しているとみられる。なお、米国の最上位は日本では低位の「クリティカル・シンキングスキル」。

8. 生産性向上の取り組みと成果配分【日本独自設問】(P16~17)

  • ・現在及び今後(3年後)の生産性向上の取り組みについて、現在も今後も「新しい顧客価値に対応する商品・サービス・事業の開発を通じた事業ポートフォリオの再編」「従業員に対する専門スキルの教育」が上位。
  • ・生産性向上により得られた成果配分で今後重視すべきステークホルダーは、「従業員」、「顧客」、「社会」の順。